AIにメールの返信を書いてもらったのに、そのままでは送れない。結局ほとんど書き直した。
そんな経験はありませんか。私は何度もありました。
原因の多くは、AIの性能ではなくこちらの頼み方にあります。「いい感じに返信して」とメールを貼っただけでは、AIは何を優先すべきか分かりません。
この記事では、AIにメール返信を頼むときに指示へ入れておきたい5つの要素をまとめます。これを渡すだけで、手直しの量がはっきり減ります。日付を扱うときの注意も後半に書いています。
なぜそのままでは使えない返信が来るのか
AIは届いたメールを読めますが、あなたの事情は一切知りません。
- その依頼を受けるつもりなのか、断るつもりなのか
- 相手が長年の取引先なのか、今日はじめて連絡が来た相手なのか
- 社内の慣習として、どのくらい丁寧に書くのが普通なのか
- 触れてほしくない事情があるのか
これらを伝えないまま頼むと、AIはもっとも無難な最大公約数の文章を返してきます。当たり障りがない代わりに、あなたの状況には合っていない。だから書き直すことになります。
逆に言えば、足りないのは情報だけです。そこを埋めれば結果は変わります。
指示に入れるべき5つの要素
1. 届いたメール(そのまま貼る)
要約せず、原文をそのまま貼るのがおすすめです。宛名も署名も残して構いません。
要約すると、日付や金額、相手の言い回しのニュアンスが落ちます。特に日付・数量・固有名詞は、要約の過程で消えたり変わったりしがちです。AIに正確に引き継がせたいなら、原文が一番確実です。
2. 返信の目的(何をしたいのか)
これが最も重要です。 同じメールへの返信でも、引き受けるのか断るのかで文章は全く別物になります。
「断る」と一言添えるだけで、AIは断りの構造(感謝 → 理由 → 明確な辞退 → 代替案)で書いてくれます。逆にここを言わないと、AIは文面から目的を推測するしかありません。
よくある目的は次のようなものです。
- ふつうに返信する/引き受ける/断る
- 日程を調整する/お願いする/確認する
- お詫びする/お礼を伝える
3. 伝えたいこと(箇条書きで雑に)
ここはきれいに書く必要はありません。 むしろ箇条書きのメモで十分です。
・その日は定期点検で使えない ・9月17日なら空いている ・50名だと第2会議室が必要
整った文章にするのはAIの仕事です。こちらは盛り込む中身を漏れなく渡すことに集中したほうが、結果的に速く済みます。
4. 相手との関係とトーン
「社外の取引先」なのか「社内の同僚」なのかで、適切な敬語のレベルは変わります。ここを指定しないと、社内メールに過剰にかしこまった文が返ってきたりします。
あわせてトーンも指定しておくと安定します。
- かなり丁重:改まった場にふさわしい格式のある文体
- ていねい:標準的なビジネス敬語
- やわらかい:クッション言葉を適度に使い、冷たい印象を避ける
- 簡潔:儀礼的な表現を最小限にし、用件中心に
- 毅然と:譲れない点を曖昧にしない
とはいえ、毎回これを書くのが面倒なら、メールの文面から読み取ってもらう手もあります。
相手との関係と適切な敬語のレベルは、受信メールの文面から判断してください
敬語の使い方、定型句、署名を見れば、AIはある程度まで判断できます。うまく読み取れなかったときだけ、明示すればいいと思います。
ただし、文面に出てこない事情はAIには分かりません。 「長年の付き合いがある」「前回こちらの手違いで迷惑をかけた」といった背景は、こちらから伝える必要があります。
5. してほしくないこと
見落とされがちですが、ここが効きます。
AIは親切に書こうとするあまり、こちらが言っていないことまで補ってくれることがあります。ビジネスメールでは、これが事故のもとになります。
私がいつも入れているのは次の3つです。
- 事実として書かれていないことを補わない。 推測が必要な箇所は文中に紛れ込ませず、末尾に確認事項としてまとめる
- 日付・金額・数量・固有名詞は、受信メールの記載を正確に引き継ぐ
- 過度な謝罪や、実行できない約束をしない
3つ目は特に大事です。頼み方によっては、AIは「すぐに対応いたします」「必ず善処いたします」といった、こちらが約束していない内容を書いてしまうことがあります。送信前に気づけばいいですが、見落とすと後で困ります。
日付を扱うなら、今日の日付を書き添える
これは見落とされがちですが、知っておくと事故を防げます。
AIは、今日が何日なのかを正確に知らないことがあります。 そのため、例えば「9月10日(水)」の曜日が合っているか、「来週の水曜」がいつを指すかを、正しく検証できない場合があります。
対処は簡単で、指示の冒頭に今日の日付を1行書いておくだけです。
# 今日の日付 20XX年8月7日(X)
日程調整のメールや、期日のあるやりとりのときだけ、この2行を足せば十分です。
そのまま使えるテンプレート
上の5つをまとめると、こういう形になります。コピーして使ってください。
あなたは日本のビジネスメールに詳しいアシスタントです。 以下の受信メールに対する返信文を作成してください。 # 返信の目的 (例:断る。相手の面目を保ちながら、明確に辞退する) # 相手と文体 - 相手との関係と敬語のレベルは、受信メールの文面から判断してください - トーン:(例:やわらかい) # 返信で必ず伝えたいこと (箇条書きのメモでよい) # 条件 - 事実として書かれていないことを補わない。推測が必要な箇所は 文中に補わず、末尾に確認事項としてまとめる - 日付・金額・数量・固有名詞は受信メールの記載を正確に引き継ぐ - 過度な謝罪や、実行できない約束をしない # 出力 返信本文をそのまま貼り付けられる形で示してください。 補足や確認事項がある場合は、本文のあとに分けて書いてください。 # 受信メール --- (ここに受信メールを貼り付け) ---
それでも面倒なときは
とはいえ、毎回この前置きを書くのは面倒です。 私もそう思って、選ぶだけでこの指示文が組み上がるツールを作りました。
届いたメールを貼り、伝えたいことを箇条書きで書いて、相手とトーンを選ぶだけ。あとはコピーしてAIに渡せば終わりです。設定はブラウザに保存されるので、次回からはメール本文と伝えたいことだけ入力すれば済みます。
最後に:送信前に必ず読む
これは当たり前のことですが、念のため。
AIが書いた文章を、読まずに送らないでください。 指示を丁寧にしても、事実誤認や不適切な表現が混じる可能性はゼロにはなりません。
特に確認したいのは次の点です。
- 日付・金額・数量が受信メールと合っているか
- 約束していないことを約束していないか
- 社名や役職名の表記が正しいか
AIは下書きを速く作るのが得意です。最終的な判断は、送る本人が持っておくべきものだと思います。
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